2024年10月15日
- 認知行動療法
パニック障害(パニック症)克服のためのカウンセリング(認知行動療法)
こんにちは、認知行動療法カウンセリングセンター沖縄店の岡村です。今回はパニック障害やパニック症について、その改善法をわかりやすく解説したいと思います。近年では「パニック症」という言葉が使われるようになりましたが、まだ「パニック障害」で検索する方も多く、両方をタイトルに入れて解説します。
まず、パニック症とは、繰り返し予期しないパニック発作が生じる症状のことです。パニック発作は突然始まり、急速に恐怖や不安が高まり、10分以内にピークに達することが多いです。この発作中には、動悸、息切れ、ふらつき、発汗、手足の震え、吐き気などの症状が現れることが多く、個人差があります。ある人は動悸が強く出たり、他の人はふらつきや手足の震えが強く出たりします。これらの症状は、たとえば電車に乗っているときや、歩いているとき、何かをしているときに突然やってきて、非常に苦しい体験となります。
パニック発作が起きると、その後1ヶ月以上にわたり、以下の2つの特徴が続く場合があります。
- パニック発作が再度起きることに対する持続的な不安:発作がまた起きたらどうしようという心配が続き、パニック発作そのものやその影響について常に不安を感じます。
- 発作を回避するための行動:たとえば、発作が起きた電車を避ける、人混みを避けるなど、発作を避けるために特定の場所や状況を避けるようになります。これを予期不安と呼びます。「ああなったらどうしよう」「こうなったら困る」という不安が強くなり、行動範囲が徐々に狭まってしまうのです。
また、安全確保行動と呼ばれる行動もよく見られます。発作が起きた時のために常に薬を持ち歩いたり、水を手元に用意しておいたりする行動です。これにより一時的には安心感を得ることができますが、長期的には不安や恐怖を強化し、行動範囲をますます狭めることにつながる可能性があります。たとえば、電車に乗ることを避けるようになると、今度はエレベーターが怖くなり、そのうち外出自体が難しくなるといった状況に発展することもあります。
このような状況に対して、**認知行動療法(CBT)**が有効な改善方法の一つです。CBTは、現在の困りごとが生活にどのような影響を与えているかを整理し、そのパターンを把握して改善していく方法です。たとえば、電車に乗る時にどのような考えが浮かび、その考えがどう不安や恐怖を引き起こし、最終的にどんな行動に至るのかを分析します。次に、その考えや行動パターンを少しずつ変えるための手段を見つけていきます。これには、リラクセーションなどで体を落ち着かせる方法や、環境を少しずつ変えていく方法があります。
CBTの具体的なステップとしては、まず自分のパニック症状がどのようなパターンで起きるのかを明確にすることが重要です。たとえば、どのような状況で、どのような身体反応が起こり、どんな予期不安が浮かぶのかを整理します。また、予期不安に対してどのような対処行動や安全確保行動を取っているのかも確認します。これを通して、自分のパターンを理解し、それを変えるためのアプローチを探ります。
一例として、危険センサーチェックという方法があります。たとえば、混雑したスーパーで買い物をしているときに、動悸や息苦しさを感じたとしましょう。そのときにどんな考えが浮かび、その考えがどのように不安を増幅させたのかを振り返ります。次に、その場でどのように対処したのか、たとえばすぐに店を出たのか、あるいは薬を飲んだのかといった行動を確認し、パターンを整理します。こうしたパターンを分析することで、発作が起きるたびに同じ行動を繰り返さないよう、新たな対応策を見つける手助けとなります。
最終的に、自分の行動や考えを少しずつ変えることが、パニック症状の改善につながります。たとえば、電車に乗ることを避けていた人が、少しずつ電車に乗る練習を始めることで、不安に対する耐性がつき、成功体験を積むことができます。成功体験が増えると、自信がつき、次第にパニック発作の頻度や強度が減少していくのです。
安全確保行動のメリットとデメリットも理解しておくことが重要です。メリットとしては、一時的に安心感を得たり、発作を回避できたりしますが、長期的には予期不安が強化されるリスクがあります。これに対してCBTでは、実際の状況に直面し、予測と実際の差異を確認することで、予期不安を減らすことを目指します。
認知行動療法を通じて、自分自身のパニック症状のパターンを理解し、少しずつ改善していくことで、パニック発作や予期不安に対する恐怖が和らぎ、日常生活がより快適になるでしょう。
もし、パニック症状や予期不安でお困りの方は、当カウンセリングセンターでのご相談をお勧めします。専門のカウンセラーがあなたの困りごとに寄り添い、改善のお手伝いをさせていただきます。
認知行動療法カウンセリングセンター沖縄店
https://okinawa.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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